2025年2月に欧州委員会が提案した「オムニバス簡素化パッケージ」は、CSRDCSDDDの大幅な簡素化を含む、EU企業にとって極めて重要な法改正です。現在、2026年第2四半期の最終法文成立に向けて、法案成立プロセスが進行しています。 
 
本稿では、オムニバス法案の最終成立まで、企業が対応を判断するために必要な情報を時系列で整理し、重要な動きがあり次第、随時更新します。

オムニバス法案の提案背景から内容、改正ポイントの詳細については、こちらの解説記事をご覧ください。

現在進行中 (2025年10月22日時点)

項目 状況期限・次のステップ詳細
欧州議会の議会案 本会議で否決、修正案作成中 11月13日の本会議で
修正案を審議 
欧州議会は、法務委員会の採択案を賛成309票、反対318票、棄権34票で否決。これにより、議会は修正案を作成し次回11月13日の本会議にて採決予定(2025年10月22日) 
改訂ESRS公開草案 EFRAGにて改訂作業中 11月30日までに
欧州委員会へ提出 

・義務的データポイント:57%削減  
・総開示項目:68%削減  
・DMAの合理化  
・  基準間の重複削減  
・免除を含む軽減措置の導入など
Stop the Clock加盟各国の国内法へ移管 加盟各国が国内法化へ移行手続き中 12月31日までに移管完了 

今後の重要日程  

※以下の日程は現時点での予定であり、審議の進捗状況により変更される可能性があります。

時期・日時項目          内容
2025年11月13日欧州議会 採決    10月22日の否決を受けて修正案作成。再度採決へ
2025年後半〜2026年初頭 三者協議(トリローグ) 欧州議会の議会案が採決されれば、三者協議へ進む
2026年第2四半期オムニバス法案 
最終法文成立
三者協議による最終採択 
2027年第4四半期域外適用基準(NESRS)の採択 2026年第2四半期採択予定から延期 

確定済みの内容 

時期・日時 項目 内容
2025年10月6日 域外適用基準(NESRS)の採択延期 NESRSの採択時期を当初の2026年6月から少なくとも2027年10月1日まで延期 
2025年6月23日 EU理事会正式合意 CSRD:従業員1,000人以上、
売上4.5億€ 
CSDDD:従業員5,000人以上、売上15億€ 
デューデリジェンス:リスクベースへ
2025年4月14日 2年延期措置(Stop the Clock)
承認 
第2グループ:27年実績→28年開示 
第3グループ:28年実績→29年開示 

重要な注意事項

この法案は現行規制を一時停止するものではありません。改正案が審議されている間も、企業は現行のCSRD・CSDDDなどの法規制に従い続ける必要があります。 法案が最終的に成立し、各加盟国で国内法化されるまで、既存の義務は継続します。 

Photo by European Parliament